狂人なおもて往生をとぐ ~昔、僕達は愛した~

娼家の女主人とその客、女主人から逃れたいヒモの青年、若い娼婦とその客の若い男が繰り広げる“家族ごっこ”。その先にあるのは……。

挑発的、熱狂的でありながらも、美しい詩的なセリフが印象的な数多くの伝説的戯曲を生み出した劇作家・清水邦夫。本作は、1969年に安部公房の推薦で俳優座公演のために書き下ろした作品です。劇作を始めて約10年たち、劇作家として一本立ちするのにふさわしいものを追い求めていた清水邦夫が新しい世代の作家としての地位を確立した、まさに転機の一作と言われています。

演出は2022年に上演された『加担者』と安部公房作の『幽霊はここにいる』の演出で第30回読売演劇大賞優秀演出家賞受賞した、今最も注目をあつめる演出家・稲葉賀恵が務めます。

現代は若者が熱をもって物事に向き合うことが難しい時代と言われています。狂気の中にも不思議と人を引き付ける力強い魅力を持つこの戯曲を、現代の演出家が手掛けることにより、人は本来何を求めているのか、この戯曲の熱の正体は何なのか問いかけます。

ドラマ、ストレートプレイ、ミュージカルと様々な分野で活躍する俳優の木村達成が主演に決定!

英国ロイヤル・シェイクスピア・カンパニー制作のミュージカル『マチルダ』や、栗山民也演出のミュージカル『スリル・ミー』といった本格的ミュージカル作品から、白井晃演出のブレヒト作品『セツアンの善人』や小川絵梨子演出の不条理劇『管理人』など、様々な分野で俳優として活躍し、4月13日から放送の始まった日曜劇場『キャスター』(TBS)にも出演中の木村達成が、本作では娼家の女主人のヒモで、逃れたくてもその優しさから逃れられずにいる青年役を演じます。娼家に集まる登場人物たちが始める家族ごっこの中では長男を演じることになる主人公の青年【出】を木村達成がどう演じるかにもご注目ください。

なお、ほかの出演者など公演詳細は今後逐次ご案内します。今よみがえる伝説的で熱量あふれる舞台にぜひご期待ください。

STORY

ピンクの照明が妖しげに光る娼家。大学教授と名乗る初老の男「善一郎」はここの女主人「はな」の客である。そして青年「出」は女主人のヒモで、ここから逃げようとしているが、彼女の優しさから逃れられない。この娼家には若い娼婦「愛子」もいて、彼女の客である若い男「敬二」もやって来る。

やがて彼ら5人はまるでここが一つの家族であるかのようなゲームを始める。初老の男が父親、女主人が母親、ヒモの青年が長男、若い娼婦が長女、その若い客の男が次男。

ところがその家族ゲームとは……。

CAST

  • 木村達成

    MESSAGE & PROFILE

    自分と向き合う素晴らしいチャンスをいただきました。
    今回は自分が何度ぶっ壊れるか、楽しみです笑
    みなさまに楽しんで頂けるように頑張りますので、是非観にきてください!

    2012年ミュージカル『テニスの王子様』でデビュー。ハイパープロジェクション演劇『ハイキュー!!』などの作品で注目を集め、18年『ラ・カージュ・オ・フォール~籠の中の道化たち~』でグランドミュージカル初出演。20年『銀河鉄道の夜2020』(白井晃演出)で初主演、以降舞台に『ジャック・ザ・リッパー』『セツアンの善人』(白井晃演出)『SLAPSTICKS』(三浦直之演出)『四月は君の嘘』(上田一豪演出)『血の婚礼』(杉原邦生演出)『マチルダ』(マシュー・ウォーチャス演出)『新ハムレット』(五戸真理枝演出)『スリル・ミー』(栗山民也演出)、ドラマ『オールドファッションカップケーキ』、大河ドラマ『光る君へ』、現在放送中の日曜劇場『キャスター』出演中。

STAFF

  • |作|清水邦夫

    PROFILE

    劇作家、演出家、小説家。新潟県生まれ。早稲田大学演劇科在学中に処女戯曲『署名人』(1958)を発表。岩波映画入社後、ドキュメンタリーや映画のシナリオを執筆。1965年にフリーランスへ転身し、本格的に劇作家の道へ。特に1960年代後期から、演出家の蜷川幸雄氏と組んで清新な作品を次々と送り出し、多くの支持を集めた。1994~2007年多摩美術大学教授。2002年紫綬褒章、2008年旭日小綬章受章。

  • |演出|稲葉賀恵

    MESSAGE & PROFILE

    清水邦夫の作品はいつも現実が狂乱で虚構であることを教えてくれます。
    それでいて書かれている言葉は絵空事ではなく本当にそこで感覚を生み起こすための装置です。その簡潔で明瞭でそれでいてアイスピックのように鋭利な言葉を切り開け、手を突っ込んでいくと、人間の臓物や肉片のようなものが実際にぬらぬらと光っていて、それはとても妖艶で挑発的です。
    この作品はそのような言葉の応酬で、「家族」というコミューンを媒介にして「人間」というものを限界値まで解剖していきます。虚構であると同時に現実的、青春であると同時に絶望的。この言葉たちを、切ったら実際に血が滲み出る「今」の物語として構築し、お客様に快楽の伝達を目指そうと思います。ご期待ください。

    日本大学芸術学部映画学科監督コース卒業。大学在学時より映像作品、インスタレーションなど作品創作をスタートさせる。2008年文学座付属演劇研究所48期生として入所。研修科時代より劇団内では西川信廣、鵜山仁、高瀬久男、松本祐子、上村聡史、劇団外では青木豪、河合祥一郎、神崎由布子(振付家)、小川絵梨子、寺十吾などの演出助手を務める。一方で研修生時に「棲家」(作/太田省吾)を勉強会として文学座アトリエにて公演。2013年座員に昇格後、4月に「十字軍」にて文学座初演出。 「リアリズムを越えた手法で描くこの難度の高い劇をあえて選び、それを簡潔に、だが躍動的なタッチで舞台化してみせたその手腕に私は感心した。」(扇田昭彦)と評される。2018年10月、新国立劇場小川絵梨子芸術監督第一シーズンにおいてカミュ作「誤解」を演出。 2022年に上演されたオフィスコットーネ 「加担者」、パルコ・プロデュース「幽霊はここにいる」の演出で第30回読売演劇大賞優秀演出家賞受賞。

INFO

2025年10月

IMM THEATERWEB

※公演日程、チケット取扱い等、
詳細は後日発表いたします。

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公演事務局
0570-08-9921(10:00~18:00 オペレーター対応)